「学校行事」の記事一覧

 山の色が少しずつ深まり、福島の朝はぐっと冷え込むようになりました。11月を前に、子供たちは厚手の服に袖を通し、白い息を弾ませながら登校してきます。

 

 今日は、朝の活動で、学級遊びをする日です。校舎の中では、広い廊下を使ってハンカチ落とし。

 外では、元気いっぱいのドッジボール。

「いくよー。」

「キャー!」

 と、声が響き、朝の校舎が一気にあたたまります。

 

 先生も輪に入り、本気で参加します。

「先生、大人げないー!」という声が笑いと一緒に広がっていきます。

 

 短い時間でも、心がつながる。

 そんな朝が、1日のはじまりを優しく包みます。

 あそびも、学びも、福島小はいつでも全力です。

 福島小学校の1階には、地域の歴史が集められた一画があります。ここには、木曽福島で昔使われていたものや、出土した土器、よく見られていた野生動物の剥製などが展示してあります。

 休み時間になると、子供たちがよく見に来ます。ちょっとした博物館のようになっています。

 

 中には、時代時代で子供たちに使われた教科書も展示してあります。

 

 

 江戸時代の教科書です。挿絵がちょんまげ着物姿ですし、文字が漢文です。

 

 

 

 

 明治時代に使われていた教科書です。九九表も載っていました。数字が全て漢字なのが驚きです。

 また、ノート代わりのミニ黒板には、カエルの落書きがばっちり残っています。いつの時代も、子供たちの楽しみは変わらないものですね。

 

 

 昭和に使われていた教科書です。算数ではそろばんを、音楽ではレコードを使っていました。

 

 ニホンカモシカやホンドキツネ、ハクチョウの剥製も展示してあります。「ごんぎつね」「手ぶくろを買いに」や、「きつねのおきゃくさま」「きつねの窓」を学習する時、ここのキツネはひっぱりだこです。学校の隣にある代官屋敷にも「お狐様」が展示してあることからも、木曽福島の人たちにとって、狐がいかに身近な動物だったのかが分かります。

 

 時代を経ても、子供たちの営みは変わりません。

 地域に住む人々が、世代を超えて集い学んでいく。

 子供たちが学んだ証が、ここに生き続けています。

 今日は、近くのこども園から、来年度に入学する園児たちが福島小にやってきました。昇降口のあたりから、小さな足音や笑い声が響きます。

 

 

 1年生は、この日のためにたくさんの準備をしてきました。自分たちで地図をかき、案内板を立て、お化け屋敷や駄菓子屋、屋台のようなコーナーを作りました。

 

「いらっしゃいませー!」「チョコバナナ買ってー!」と、声をかけながら、園児を案内します。

お客さんを前にして、少し緊張しながらも、笑みがこぼれる子どもたち。お化け屋敷は大行列でした。

 

 

 

 

 

 迎える側の1年生の表情は、どこか誇らしげでした。

 

 園児のキラキラした目、1年生の伸びた背筋。その両方の中に、”未来”がありました。小さな手が、小さな未来をノックしたような一日。福島小の校舎に、あしたの気配がふわりと広がっていました。

 

 

 

 最後は、バスまで見送りします。

     「またねー。」

     「来年ねー。」

木曽谷に、子どもたちの声がこだまします。

 秋の光がやわらかくなり、春に植えた稲がついに実りました。

 子供たちは3人1組になり、鎌で刈る人、受け取る人、束にしばる人に分かれて作業を進めました。

 

 刈るのが速い子、落ちた稲を丁寧に集める子、束ね方が上手の子。

 それぞれの個性が自然に生き、互いを助け合いながら、稲の列が少しずつ短くなってきます。

 

 作業の合間には、田んぼのカエルやヤゴを見つけて追いかける子も。泥に足を取られ、「抜けない」と笑いながら、それでも前に進みます。

 

 手足が泥だらけになるころ、水路で泥を落としました。流れていく泥の葉を見つけ、追いかけていく子の姿もありました。

 田んぼと水路の子供たち。

 自然と人が調和している光景がそこにはありました。

 

 福島小の子供たちは稲とともに季節を感じ、土と水と太陽に包まれながら、ゆっくりと育っています。

 

 

 探求的な学習を積み重ねてきた4年生の子供たちの姿に、少しずつ変化が見えてきました。

 

 最近では、自分たちでさらに新しいプロジェクトを立ち上げ、チラシを作って配り歩く姿が見られます。休み時間や隙間時間を使って、夢中で活動を進める子供たち。チラシのレイアウトを考えたり、写真や動画を編集したり、敬語を学んだりと大忙しです。教室のあちこちで、ものづくりや調査、話し合いが自然に行われています。

 

 プロジェクトの内容も少しずつ進化をしています。例えば、虫の標本ブローチを作っていた子は、今は木を削り出して日本刀を作り始めています。作品の完成度も上がるだけでなく、発想もどんどん広がっています。どうやら、鍛冶屋のある商店街を作るそうです。段ボールをたくさん運びこんでいました。

 

 また、「〇〇くんとコラボしよう!」と声を掛け合い、互いの得意分野を認めながら協力する場面も増えてきています。写真のチラシには、「〇〇くんに絵をかいてもらいました」と書かれています。

 

 自分のペースで学びを深めてきた子どもたちが、今は自分の手で、新しい学びを作り出しています。

 また、この活動は4年生だけにとどまらず、静かに広がっていたのです。

 

 なんと、4年生の活動を知った3年生の一部の子どもたちが、自分たちもやってみたいと、先生に申し出てくるようになりました。

 

 子どもたちの空気が、確かに変わってきています。

 

 子供たちは、日々すくすく成長しています。学校で学習することも、違う場所で見聞きすることも含めて、彼らは多くのことを吸収していきます。私たち大人の予想をはるか超えて、です。

 今回は、彼らがその学びを形として表したものを紹介したいと思います。

 

 校舎内には、子供たちの学びの結晶が、ところ狭しと飾られています。

 

 

 社会科見学で、木曽町を回った子供たちは、心に残ったことを新聞に表しました。ロープウェイや、御岳はくさいなど、地元の特産品を紹介しています。保冷庫がとても寒かったことや、ロープウェイの景色がとてもよかったことが書かれていました。「雲が下にある」「かくかくの石がある」など、子供たちの表現で、本質的なことを見つけてきていました。

 

 夏休みの自由研究では、自分の興味のある事柄について調べてきます。料理や作品等何かを作ることや、運動に挑戦すること、何かを調べたり実験することなど、子供たちは様々なことに取り組んでいました。航空機が好きな子は、実際に空港に行ってたくさんの飛行機の写真を撮ってきて紹介したり、星が好きな子は、高原という木曽ならではの地の利を活かして、夜空に輝く星座について調べてきました。自由研究の向こう側には、きっと、目を輝かせて夢中になって調べる子供たちがいたのだと思います。

 最後は6年生の水墨画の紹介です。

 動物や風景など、題材はそれぞれですが、皆、墨の濃淡を活かして、味のある水墨画を描いていました。墨をにじませる技法をつかったり、線の太さを変えて遠近を表したり、伝統的な技法がしっかりと受け継がれていました。御嶽山を頂く土地ということもあり、山を描く子が多かったです。山の葉の色や、影のできる場所の選び方、枝の曲がり具合など、普段目にしているからこそ描けるものが多いのも特徴です。

 

 普段の学校の授業でも、そうでなくても、子供たちは一人ひとりの個性を発揮しています。

 同じ題材でも、捉え方や表し方は違いますし、それぞれのよさがあります。意外なものに興味をもって、深く調べることもあります。そして、その作品や研究から、それぞれの性格が垣間見えます。

 同じものは一つとてない、かけがえのない輝きがそこにあります。

 夜空に輝く星のように、校舎には、福島小の子どもたち全員の学びが瞬いています。

 

 10月に入り、16日に開かれる音楽会に向けての練習が熱を帯びてきました。

朝の活動では、合唱の練習が行われるようになりました。学年それぞれのよさがめきめき伸びてきています。朝の光が差し込む広場で、先生と一緒に合唱練習。高い天井に、子どもたちの歌声が響きます。

 

 学級でも、歌詞を見ながら元気に歌っています。子どもたちの朝の歌声から、元気をもらっている先生たちがいるのは、ここだけの秘密です。

 

 また、外部から、音楽の先生を招いて、本格的な合唱の指導も受けています。いつもとは違った雰囲気に、子どもたちも真剣です。

 

 そして、楽器たちも音楽会に向けてスタンバイしています。校舎中にあって、休み時間に自由に練習できた楽器たちが、体育館に集まってきました。出番を今か今かと待っています。

 ピアノ、打楽器、ーその中には、和の響きをもつ琴の姿もあります。


 

合唱の声、楽器の音、休み時間の笑い声、校舎に重なり合う音は、子どもたちの日常を鮮やかに彩ります。

 

福島小には、音楽を身近に感じ、自然に親しむ土台があります。その音色は、きっと子どもたちの個心に深く刻まれていくでしょう。

 福島小では、クラブ活動が始まりました。地域の方々が講師として来てくださり、子どもたちは様々な体験に取り組みます。

 普段の「勉強」とはちょっと違う、心躍る体験がそこにはあります。言葉には表せられない期待とわくわくが、子どもたちに広がります。この時間、教室の空気がいつにも増して生き生きします。

 

 バレーボールクラブでは、体育館の床と子どもたちの上靴が心地よい摩擦音を奏でていました。

ボールを追いかける子どもたちの声が、体育館に響いていました。

 木工クラブでは、ヒノキの香りの中で、椅子づくりに挑戦。図工室の壁のモナ・リザや、デザイン用石膏も、子どもたちの活動を見守っていました。

 タブレットを片手に、廊下のいたるところで、動画を撮影している児童もいました。動画を編集するクラブもあります。時代の流れを感じますね。

 4年生から6年生まで、普段同学年同士で過ごしている子どもたちが、学年をこえて同じ場所に集い、学び合います。

 分からないことを教え合ったり、一緒に笑い合ったり。

 そのやり取りの一つ一つが、活動を豊かにしています。

 

 地域の人に支えながら広がる、子どもたちの世界。

 学年や立場を越えて関わり合うことで、新しい自分を見つける瞬間があります。

 

 今日もまた、クラブ活動の時間に、子供たちの表情はいつもより少し大人びて見えました。

 校舎をわたる風が、少しずつ秋の色を運び始めた今日このごろ。
福島小学校に、また新しい音が満ち始めました。音楽会に向けた練習の始まりです。 

 体育館に集まった、全校児童。
先生のピアノの音に合わせて、最初の歌声が響きます。

 それはまだ、一人ひとりの声。
 高学年のしっかりとした声、中学年の澄んだ声、そして、入学して半年が経った一年生のかわいらしい声。音の高さも、歌い出すタイミングも、息づかいも、みんなばらばらです。けれど、それもまた、一生懸命さのあらわれ。自分のパートを、自分のメロディーを、確かめるように歌う子どもたちの姿があります。

 先生の指揮をきっかけに、子どもたちの意識が、自分の内側から外側へと向かっていきます。
ざわめきがすうっと消え、空気が澄んでいくのがわかります。

 そして、再び歌い始めた、その瞬間。

 魔法が起きたかのように、ばらばらだった音が一つの流れになりました。違う高さの音が、パズルのピースがはまるように組み合わさり、美しい「響き」が生まれます。ハーモニーが生まれた瞬間です。
 その変化に、誰より早く気づいたのは子どもたち自身でした。
「あ…」と、誰かの驚きの声がもれ、歌いながら、隣の子と顔を見合わせてにっこりと笑いました。その表情は、「できた!」「きれいだね!」と、声なき声で語り合っているようでした。

 自分の声が、誰かの声と重なる心地よさ。
 みんなで一つのものを作り上げる、静かな喜び。
 子どもたちは、楽譜からは学べない大切なことを、心と体で感じ取っています。

 

 授業では、楽器パートに分かれての練習が始まりました。鉄琴の涼やかな響き、ドラムの激しい鼓動、リコーダーや鍵盤ハーモニカの懐かしい音色、お互いの音を聴き合い、支え合う。先生が階名で歌うCDが、子どもたちのゆく道を照らします。

「ドードードー♪」

CDから流れる先生の歌声に合わせて、子どもたちは楽器を演奏します。楽譜からの情報に加え、全体のメロディや音の長さが実際に分かって、子どもたちも安心です。

 難しい音程に苦戦しながらも、CDに耳を傾けながら友達と教え合う姿は真剣そのものです。

 

 驚くのは、休み時間です。
 チャイムが鳴ると、誰に言われるでもなく、何人もの子が音楽室へ向かいます。おのおの楽譜を手に、自然と練習が始まります。校舎には、途切れることなく子どもたちの歌声や音楽が響いています。福島の日常に、音楽が溶け込んでいるのです。

 一つの歌を、みんなで完成させていきます。
 これは、私たちの社会や生活と、どこか似ているかもしれません。
 一人ひとりの個性(声)は違っていても、お互いに耳を傾け、尊重し合うことで、想像もしていなかった美しい調和(ハーモニー)が生まれます。

 子どもたちの歌声に耳を澄ませていると、そんな当たり前で、とても大切なことを思い出させてくれます。そして、教室の窓から夕陽を眺めながら、仲間と声を合わせた、あの遠い日の記憶がふっと胸をよぎるのです。

 今年の音楽会では、どんなハーモニーが響くのでしょうか。
 子どもたちが紡ぎ出す一瞬一瞬の音を、大切に見守っていきたいと思います。

 「生物多様性保全の推進に関する基本協定」に係る環境教育事業として、例年、町内の小学校を対象に専門講師による座学と校外学習の授業が行われます。今年度は福島小がその対象となりました。

窓の外には、もう秋を知らせる涼しい高原の風。子どもたちは、何が始まるか、わくわくしていました。

 

 1日目は座学。木曽の開田高原にしか生息しない、絶滅危惧種のチャマダラセセリの話を聞きました。虫好きの子は前のめり、ちょっと苦手な子は顔を背けて「えー」。

 でも、先生が語る虫の豆知識や意外なエピソードに、次第に笑顔が広がり、やがて全員の視線がスクリーンに釘付けになっていきます。最後の、生物多様性の話になる頃には、子どもたちは真剣に話を聞くようになっていました。

 

 2日目は木曽駒森林公園へ。緑に包まれた森の中、虫取り網を手に走る子どもたち。高原の空気は澄んでいて、草の香りと土の香りが混じり合う。

 捕まえたチョウをそっと三角紙に入れて観察する手つきは、まるで森からの贈り物を扱うようでした。

 

 ひらりと羽ばたくチョウの姿に、子どもたちの表情も変わっていきました。「虫は苦手」と言っていた子が、気づけば目を丸くして覗き込んでいました。自然の風、森の香り、そして小さな羽音。一緒に学び、一緒に走り回ったこの日は、子どもたちの心のどこかに、夏の光と同じように残り続けるのかもしれません。

 

 大人になっても、ふとした時に、こうした「小さな発見」を思い出してくれればいいなあと思います。

木曽駒森林公園,チョウ

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